高校生ならではの進路との葛藤…『えんどうくんの実験ノート　上』

大洋図書　H&C comics ihr HertZ Series 『えんどうくんの実験ノート』を紹介します！

　以下、裏表紙より引用です。感想・レビューで内容に触れています！かいつまんで内容が知りたい！！という方は、赤字・マーカー部分だけでも読んでもらえたらうれしいです。

隣にいたい。もっと触りたい…―――――

高校のクラスで席が前後になり、気づけば傍にいるようになった『遠藤』と『津田』。他人に興味なんてなかったはずなのに、互いの存在がどんどん大きくなっていく。隣にいたい。もっと触りたい。けれど、進路を決める時期になった二人は、今のままではいられないことも意識し始めて……

大洋図書　H&C comics ihr HertZ Series『えんどうくんの実験ノート　上』より

HertZ Series『えんどうくんの観察日記』の続編シリーズです。それを知らずに今作品から読み始めました…表紙の水彩のような色使いに一目ぼれでした。綺麗で繊細で、どんなお話なんだろう？とワクワクしながら読み進めました。

青春を切り取ったフィルムのようなコマ割り

文字で表現される手書きのセリフと効果音、四角いだけじゃないコマの躍動感がほかの漫画にはない世界観を演出していました。今まで学生のお話だと、好きになって告白して、と進むお話の流れの中、この作品はそれだけでは終われない時間の流れ方をしていました。”恋愛”という枠にとらわれない二人を見守っているような不思議な感覚です（＾＾）

相棒という言葉の型にハマらない二人

ずっと隣にいることが当たり前になってくると、相方や相棒など名詞がつくのも好きなのですが、この二人のように学校から一緒に帰って寄り道をしたり、進路のことで悩んでお互いに話すのをためらっていたりと仲の良い友人同士。しかしどこか流れる時間軸がかみ合ってないようなストップモーションのような怒涛の描写が起こります。そこが凄く印象的でした（＾＾）

二人に向くベクトルの行方

　遠藤くんがね、可愛いんですよ。津田くんに頬や頭を撫でられたりする場面があるんですが、懐きにくい動物が警戒しながらも受け入れてくれている感覚に近いかもしれません。可愛い。津田くんはそんな遠藤くんに戸惑ったり、そこも可愛い。（＾＾）彼らの周りの友人たちがあらゆる方向に感情の矢印を向けていて、それが読めるのは『えんどうくんの観察日記』なのですがこちらはまた改めて別のブログで紹介しますね。今回は津田くんに対して向けられた矢印に遠藤くんが戸惑って感情をあらわにするところが見所です。

　卒業を間近に控えた頃ってこんな時どうしたかな、将来に漠然とした不安や期待に埋もれそうな心情。すこしだけ己の記憶を呼び覚ましてくれるようなリアル感がありキャラたちが今後どうしていくのかの見守り方も経験者としてだったり、はたまた違う立場で想像できたりもして楽しいです。

下巻でさらに踏み込んでお話について語ろうと思いますのでそちらもお楽しみに！

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