交わされる声無き叫び『MODS』著：ナツメカズキ

東京漫画社　MARBLE COMICS（マーブルコミックス） 『MODS』を紹介します！

以下、裏表紙より引用です。感想・レビューで内容に触れています！かいつまんで内容が知りたい！！という方は、赤字・マーカー部分だけでも読んでもらえたらうれしいです。

「ひとり、目が覚めるたび思い出す―――昔　あのひとに抱きしめられた体温を」

妹の借金を返済するため、ゲイ向けデリヘル「Rain」の人気男娼・シロの付き人として働くことになった信虎（のぶとら）。

信虎の顔と体が好みだと言い、セクハラを繰り出してくるシロに対して一線を引いて仕事をする日々だったが、ある夜、客からの暴行で傷ついたシロの姿とふいの言葉が忘れられなくなってしまい……。

欠けて凍えた心の奥底には、愛への狂おしい呻（うめ）きがあった。

新鋭・ナツメカズキの新境地が待望のコミックス化！

東京漫画社　MARBLE COMICS『MODS』より

『I HATE』でナツメカズキ先生を知り、沼に潜り込むきっかけになったこの作品は、裏社会と男娼のシロくんの過去に区切りをつけるお話です。妹の借金を何とか返そうとアルバイトに応募した先が、シロくんがいるデリヘルの事務所でした。信虎くんからすればノーマルな感覚でいた今までと180°異なる世界になるわけで…一線を引かないといけないのは本能的な判断だと共感しました。ただ、関わっていくうちにその考えが変わっていく…その過程があまりにも切ない…！！

飄々とした表の顔と感情剥き出しの素顔

幼少期から親の借金のカタにされ、”売り”を強制させられてきたシロくんは裏社会で犬のように扱われ、正直ここまでの表現だと目を（紙面から）そらしたくなるのですが、読んでいる側が、儚さのなかにどうか希望・打開策がないかと模索しだします。そこが沼の入口だとは知らずに…。（＾＾）

そしてシロくんが所属する「Rain」のオーナー春さんはシロくんが幼い時からの腐れ縁で、個人的な私の推しです（急な宣言）。春さんと信虎くんのやり取りが”いかにも”、な感じがして笑えつつも、今後のシロくんを心配する保護者的な一面も見えて良き…！いつもは飄々としているシロくんも春さんの前では繕わず、素のままで居られているのが後編に行くにつれて泣けてきます…切なすぎる。

昔の記憶に存在する”時雨（しぐれ）”という男

過去に出てくる男はなぜこんなにも切ないのか…ってくらい染みわたる優しさの塊・時雨さん。本当に元ヤ〇ザなのか、ってくらい人としての温かみや雑な物言いの中にも含まれた気遣いにまじでハピエン厨の私から見たら幸せになってくれ…と手をこすり合わせて願いたくなるのですが、急に展開が変わってきます。

過去と決別して前に進もうとするシロくんの手を、必死に手繰り寄せて支えようとする信虎くん。二人の進む先の結末を、どうかご自身の目で見届けてみてください（＾＾）止まらない涙をこらえながら読後には心の隅々まで満たされます…！！

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